鳴り響け、復活のソナタ
「たった一夜で見事にあの子は復活した。
これでfi☆veの活動にも大きな変化が出るぞ。」
「・・ウハハ・・・ゴリよ、
馬鹿言っちゃいけねぇぜ?
レッスンの様子は流して構わねぇが、キョウコがピアノ弾いてる所は全カットしろ。」
「・・・・?」
「魚は生き返ったんだ。
だったら静かに放流してやるのが、
飼い主の務めじゃねぇのかぃ?」
「どういう事だ・・?」
「zzz…zzz…。」
「・・・話の途中で寝るなよ・・。」
どの時点でどこまでイッセイが見抜いていたのかは分からない。
だが、この男は誰よりも早く気付いていたようだ。
視線の先で、6人の歌声と一緒に再び奏で始めたあの子が・・
ずっと頬は緩みっぱなしで、
口角は上がりっぱなしで、
6人の輪の中心で愉しそうに奏でるあの子が・・
アイドルという枠組みに収まりきる器では無かった事を。
“自分”、“自我”、“推進力”・・
そして、“夢”を取り戻したあの子が、
“旅立ち”を決意する事を。
キョウコが“相談がある”と、
イッセイと俺を呼び出したのは、
今年のライブを2ヶ月前に控える、
春から夏へ変わりゆく5月だった。