鳴り響け、復活のソナタ


「・・あ、そういえばあの事件・・。」


「・・・・・・。」


「どうやって被害者2人から被疑者の名前を自供させたんですか?

会場側との連携が取れたのは、

豊川さんが被疑者の情報を引き出してくれたおかげでしたが、一体どうやって・・?」


「2つ、少々荒い手を使いました。」


「・・・・・・。」


「私は普段、被害者達に嘘をつかれる立場ですからね。

だからあの時は逆に・・
私が嘘をついてやりました。」


「というと・・?」


「坊主君と茶髪君。
2人とも落とすのは至難の業です。

だから1人だけにターゲットを絞って攻撃しました。」


「茶髪君・・?」


「・・君もまだまだ青いですね。

一見するとあの2人のうち、茶髪君のほうが感情的でボロを出しやすそうですが、

私が狙ったのは坊主君のほうです。

ああいう大人しそうな子ほど、煽られると簡単にボロを出しますからね。」


「なるほど・・勉強になります。」


「“至近距離で嗅げばある程度の効果は発揮するが、ソマンなんてサリンの10分の1の殺傷能力しか無い”


“広い会場で使ったところで、
ステージには絶対に届かない”


“家庭用マスクを付ければ防げる”


“お前らまだ騙されてた事に気付いてないのか?”


“お前らはただの犬死にだ”


こちらの挑発に、
まんまと坊主君は乗ってくれましたよ。

『ヨシオ君を舐めるな!』

“同志”と呼んでたはずなのに、
名前をポロッと出してくれました。」


「あとは被害者のスマホや、
SNSの友達の中から、

“ヨシオ”と名前の付くfi☆veファンを見つけ出したんですね・・。」

< 241 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop