鳴り響け、復活のソナタ
********************************************
「カァ~!zzz…カァ~!zzz…。」
「ちょ・・豊川さん!・・豊川さん!!」
周りから鋭い眼光が飛んでくる。
貴婦人な女性やダンディな男性の方々に頭を下げながら・・
雰囲気ぶち壊しで、いびきをかき始めた豊川さんの肩を揺する。
「なに寝ちゃってくれてるんですか・・!」
「すみません。穏やかなピアノの音色に包まれていたら久し振りに安眠しました。
今度“ピアノ大全集”のCDでも買ってみましょうかね。」
「それより、この次ですよ。
三井キョウコさん。」
「ナイスタイミングですね。」
大あくびをした豊川さんのおかげで、
再び鋭い眼光を食らってしまったので、
周りの席の人達に頭を下げたところで・・
司会者のアナウンスと共に、
事件以来、久し振りにその姿を見るキョウコが登壇する。
「・・・って・・・手ぶら・・?」
「楽譜無しで弾くつもりのようですね。」
一礼してピアノへと向かう間・・どこか他の奏者の人達よりも拍手が喝采な気がした。
fi☆veのファンも混じっているのだろうか・・いやでも・・・
周りを見渡しても、
いかにも“クラシックファン”という言葉が当てはまる高貴な人達ばかり・・
なんとなくだけど・・“おかえりなさい”と拍手が言っている気がする。