鳴り響け、復活のソナタ
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・。」
“・・・・・?”
イスに座ったキョウコが、
じっと鍵盤を見つめる。
なかなか弾き始めようとしないその姿に、
会場全体が息を飲んで見つめる。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・。」
ようやく鍵盤に手を置いた。
いよいよ始・・・
《♪~!》
「・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・。」
“・・・・?”
一音鳴らして・・止まる。
「一体何を・・・?」
「『これが“ド”』・・。」
「え・・・・?」
《♪~!》
「『これが“レ”』・・・。」
もう1音鳴らしたキョウコと共に、
さっきまでいびきをかいていた豊川さんの目が見開いて、ボソボソと何かを呟く。
《♪♪♪♪♪♪!》
「『これが・・・
“ミ”“ファ”“ソ”“ラ”“シ”“ド”。』・・。」
豊川さんのボソボソが続いたまま・・
視線の先、ドレミファソラシドの音を出したキョウコが・・笑った・・。
「・・行くよ・・・お母さん・・。」
少しだけ動いた口元。
声は聞こえるはずなかったけど・・
なんとなくそう言った気がした。
<それでは、
栄えある金賞 受賞者を発表致します。
名前を呼ばれた1名が、第70回 クラベルジットコンクールへの出場・・
聖地 レインボーホールのステージへ進むことになります。>
<金賞・・・・・エントリーNo.6!
三井キョウコ!!!>
鳴り響け、復活のソナタ
終