鳴り響け、復活のソナタ


学校で会う事はほとんど無かった。


本当に出席日数ギリギリをキープしていたようで、

卒業までの間にイッセイと言葉を交わしたのは数十回程度。


卒業式の日、
みんなが記念写真に躍起になる中、

この時もイッセイは一人、カップ焼きそばをズルズルと食べながら、

誰と写真を撮る事も無く校門を出ていった。




「ゴリ~!写真撮ろうぜ!」

「ゴリ君、一緒に写真撮ろー!」

「ゴリが作ってくれた卒業記念ビデオ、ホント最高だよ!」


「・・・・・・・・・・・。」


「「「「ゴリ?
どうしたんだよ?」」」」



「・・・・待ってるよ・・
・・・イッセイ・・・。」



卒業までの間に言葉を交わしたのは数十回程度。


だけど俺はソースの残り香を仰ぎながら、
確かにこの言葉を呟いた。


一緒に写真に映る他の同級生の・・
今まで出会った誰よりも、


俺の事を見た目で判断せず、

俺に対して心の底から“尊敬”の眼差しを向けてくれた・・


俺の趣味・好きな事を誰よりも理解してくれた男の後ろ姿を眺めながら・・・。






第1章 完










< 25 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop