鳴り響け、復活のソナタ
“ウハハ、俺の顔がさらけ出されたところで、誰も困る奴なんかいねぇ”
カメラの前にイッセイが立ち、
俺はスタッフとして声のみの出演。
もちろん、学生時代から好きだった映像制作・編集という作業が出来て楽しかったが、
正直・・これはあくまで“趣味”の範囲でイッセイはやっていると思っていた。
こんな事をしても一銭の稼ぎにもならない。
こんな事をしても天下は取れない。
2人の暗黙の了解で、
企画はイッセイ。編集はゴリ。
お互いそこに何の口出しもしない。
とあったので俺は絶対に言わなかったが、
イッセイが持ち込んで実際に撮影した、
“心霊スポット行ってみた”
“1人かくれんぼやってみた”
“廃墟で一週間寝泊まりしたらヤバいことになった”
“ホラーゲームを1人でやってみた”
“オンライン1位になるまで帰れない”
“クリア率4%のゲームに挑戦してみた”
“当たりが出るまでガリガリ君食べ続けてみた”
“チョコレートフォンデュを自分で作ってみた”
“うまい棒 巨大化してみた”
“お祭りのサメくじ、
全部釣って当たり入ってるか検証してみた”
“架空業者に引っ掛かってバトルしてみた”
“ぼったくりバーの一部始終公開。
みんな騙されるなよ”
などなど数々のくだらない・・
芸人でもないのに素人丸出しで・・
資金繰りが厳しい時も、
躊躇なく金に物を言わせて・・
こんな動画誰が見るんだ?
と喉まで出掛かっていたが、
カメラの前に立っても相変わらず“ウハハ”と笑いながら、
全力でこなしていくイッセイに応えるべく、
俺も知識と感性と技術を駆使して、
動画を毎日投稿し続けた。