鳴り響け、復活のソナタ
「ですが気をつけなければいけないのは、
被害者から話を伺う場合・・。」
「同時に話を聞くんじゃなくて、
それぞれ隔離した上で、ちゃんと自分の言葉で話させる・・ですか?」
「さすが、派出所勤務が長かっただけありますね。」
人間には“同調行動”、
“同調圧力”という心理があって、
僕の経験上、
日本人はよくこれにハマってしまう。
“な!?”
“は、はい。そうだったと思います”
“え~赤色だったよぉ?”
“うーん黄色だったと思うけど、でもうん。そう言われてみれば赤だったかも”
派出所で公務を行っていた時、喧嘩事案や迷惑行為事案などたくさん扱ってきたけど、
加害者・被害者・目撃者A・目撃者B・・といった登場人物は、
それぞれ切り離して話を聞くよう徹底していた。
他の人との意見が食い違った場合、
つい“波風立てたくない”“自分が間違ってたらイヤだし”といった心理から、
証言を変えてしまう。
そしてこれは・・
死者から話を聞く場合も例外じゃない。
「星野君。最近の成績は?」
「先日のスリッパご主人が視えたので、
6割ぐらいまで上がりました。」
「私としては、なんとしても10割を阻止したい所ですね。」
「大丈夫です。
むしろ今回のようなケースこそ、僕も視えないと霊視コンビの意味がありません。」
「君は相変わらず頑固ですね・・。
ではいつものように肩の力を抜いて被害者の情念を感じ取ってみてください。」