セジョウ
「ジンクスは残念だったけど
ここまでくれば関係ないよね…大沢さん」
上月くんはわたしの手をするりと
すくい取る。
「きみの目の前にいるのは
誰よりも重くて誰よりもきみのことを
欲している男です」
「上月くん……」
「大沢さんがいるから園芸委員会に入り、
花を愛でるその瞳を俺だけに向けてほしくて、ずっときみの姿を見ていた男です」
愛おしそうにわたしの手を自身の頬に
擦り寄せた上月くん。
狂おしいくらい綺麗だと思った。