セジョウ
「自分で大沢さんの恋愛話を聞いておきながら、殺したいくらいの嫉妬に駆られた男です」
わたしの手を頬にあてがいながら
「気持ち悪いでしょ?」
と眉を下げる上月くん。
わたしは詰まったように言葉が出てこない。
これは恐怖なのか、それとも…
「気持ち悪いならそれでいい。
だけどごめん。どうしようもなく好きなんだ。好きだよ。君をこの目に映した瞬間から…ずっと」
上月くんはわたしの手の甲にしっとりと
口づけて、告げた。
「俺が運命の相手じゃなくてもいいよ。
まだ見ぬ、君と結ばれるはずの運命の男を
殺してでも、君との永遠を奪うから。
俺のものになって、大沢さん」
甘く、狂気的な言葉。
体が言っている。
『うなずいてはいけない』と。
わたしがここでうなずけば、きっと
上月くんの底なしの愛に囚われ続ける。
わかってる。わかってるのに。