セジョウ




覚悟はしてたけど、やっぱり異常さが
会話の中でチラチラとうかがえる。

これが…もっとすごくなるのかな。


胸の奥で、一抹の不安がよぎった。




わたしに何ができるか分からないけど…

どうか、上月くんの狂気の根源が
優しく消えていきますように。


どこか危うい彼に向けて、切に願った。




そして人の少ない駅にたどり着く。



「上月くん送ってくれてありがとう。
また明日ね」


「………大沢さん」



少し強めに腕を引かれ
ふってきた口づけに目を閉じた。


そのまま流れるように唇が首筋を伝い
ちくりと甘い痛みを刻まれる。



「んっ……」


「大沢さんは…俺の、だからね。
誰にもあげない」



< 21 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop