セジョウ
「ごめん、なんとも言えないや。
恋愛経験少ないからさ」
自嘲気味に言い
足もとのマリーゴールドに水をやる。
放課後特有のノスタルジックな空気が
花たちをやわらかく包み込む。
「そっか。……じゃあさ、こんなこと聞くのは失礼かもしれないけど、大沢さんが付き合ってきた人たちって、どんな人だった?」
遠慮気味な声に、クスッと笑ってしまう。
「上月くん、わたしなんかの恋愛話が
聞きたいの?」
「うん。すごく聞きたい。
日が暮れる前に教えて」
真剣味を帯びた瞳は、まっすぐにわたしを
見つめた。
変な人…。
日が暮れるほど恋愛話なんて持ってないのに。