砂を抱える人

砂を抱えるひと

　かみさまはひとの両手いっぱいに
　その人に見合った質の砂を与える

　人は与えられた砂を
　両手で大切に抱えて生きていく

　走ると楽しい。
　けれど砂はたくさんこぼれる
　歩くと少しつまらない。
　けれど砂はゆっくり落ちていく

　人は与えられた砂を
　そうして大切に抱えて生きていく
　両手で大切に抱えて、生きていく

　砂がなくなったそのときは
　かみさまにもう一度会いに行かなければならない
　砂をもう一度もらうために。

　そうなる前に、ひとは、
　世界でただ一人の人を見つけなければならない。