プリンセスストロベリーの憂鬱
苺を食べて薬を飲んだ夏恵は眠っている。


それにしても女の子って奴は見てるよな。

従姉が好きなのは本当のことだし、初恋の人は男には特別なんだ。


夏恵が言った自分は誰かの代わりしかできないと言った言葉が気にかかる。


「何でお前はそんなこと考えることになったんだよ」

17才の少女の顔の奥は酷く大人びていて、守ってやりたいとは別の感情が沸いて来る。


「夏恵?」


夏恵の閉じた目から一筋の涙が落ちた。


「誰に泣かされたんだ?お兄ちゃんに教えてくれよ」

拭った涙は宝石のように冷たかった。
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