プリンセスストロベリーの憂鬱
「いらっしゃいませ」

「こんにちは」

「はい。こんにちは」


営業スマイルだとしても様になっている。

白いコックコートと色の近い銀髪、映画に出てきそうな男だと思った。


「このピンクの苺クリームの作り方を教えて下さい」

夏恵はぺこりと頭を下げて見せた。


「良いよ」


店長は夏恵の言葉に気を悪くするどころか、作業場に入れて説明を始めた。


「すいません…」

店員に謝ると、彼は少し笑った。

「構いませんよ。調度ピークが終わって休憩しようと思ってたんで」


そう言って紅茶の入ったカップを寄越してくれた。
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