プリンセスストロベリーの憂鬱
「智和くんおまたせ」


夏恵が戻ってきた。手には箱を持っている。


「お前それ…」

「もらったの」


満面の笑顔で夏恵は箱をみせてくる。

「もらったの。じゃねぇよ、すいません払います」


慌てて財布を出そうとすると、店長に止められた。


「良いんですよ」

「いや、そういうわけには」

「可愛い生徒さんへのお礼です」


そう言うと彼は夏恵の頭を撫でた。

それこそつじつまが合わない。

仕事を中断させてしまって、子供の好奇心に付き合わせてしまったのだから。
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