Alice in nightmare World
「とても綺麗ね」

「ありがとう、嬉しいよ」

「なんで床に落とすの?こんなに綺麗なのに勿体無いじゃない」

「それは落ちているんじゃない、置いているんだ」

マッドハッターは置いているとは言っているがそれは私には乱雑に放棄されているようにしか見えなかった。

「この部屋の外にはどう行くの?」

「この家からは出られない、外の景色は思い出せない、私には想像する事が出来ないんだ、茶会の時に皆が部屋を作ってくれる、他の日はずっと帽子を作ってる。それしかする事がない。何をしたかったのかも思い出せない。いや、アリス、君なら外に出られるかも知れない君は外を覚えているかい?」

私は外を覚えている。でも外に出る為にここに来たのではない。何かここに来た理由があるはずだ。必至に思い出そうとしたが答えは出てこなかった。

「どうだい?外に出られそうかい?外は覚えているかい?」

「うん。覚えているよ。でも私が行きたい場所は思い出せない」

「そうか、それは残念だ。自分勝手で申し訳ない話なのだが私の行きたい場所を覚えていないだろうか」

「あなたの行きたい場所?」

何かが思い出せそうな気がした。彼の行きたい場所に何かヒントがある気がする。
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