Alice in nightmare World
森はひんやりとしていて涼しい。遠くから虫の鳴き声も聞こえる。

「覚えている、覚えている」

マッドハッターは興奮気味何度も口に出していた。

「こっちであってるの?」

「ああ、あってる、この先に何かあったはずだ。何か大切なものが」

私が先頭を歩いていたが彼の足取りが早くなりついに私を追い抜いて早歩きで進んで行く。

「まって、追いつけない」

「ごめんよ、でも、これを待ってはいられないよ、こんなにもドキドキしたのはいつ以来だろう、早くこの目で確かめたいんだ」

マッドハッターはせかせかと先を進んで行ってしまう。嬉しそうなのは良い事だが私は早歩きに疲れ追いつくのを辞めた。

歩道は整備されている迷うことは無い。ゆっくり進むことにした。マッドハッターの背中はどんどん小さくなっていった。
< 13 / 28 >

この作品をシェア

pagetop