幻惑
「結花里。無理しないで。私には何でも話してよ。」

と言う。私は、少し考えて 翼の奥さんのことを話す。
 
「どういうつもりなのかしら。」

離婚届のことを、私が一通り話すと 聡美はそう言って首を傾げた。
 
「私も、それがわからないから。少し不安なの。」

と言って、私は目を伏せた。
 
「少しじゃなくて相当不安でしょう、結花里。」

聡美に共感されて、私の頬を涙が伝う。
 
「ちょっと結花里、泣かないでよ。」

聡美は驚いて、私を見つめる。
 
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