幻惑
「帰ろうかな。」

私がポツンと言うと、
 
「結花里、家のことも増渕さんのことも、私に任せて。私が、結花里の代わりに話すから。」

と聡美は、頼もしい言葉をかける。
 
「パパ、許してくれるかな。」

すっかり里心が付いた私は、翼よりも父のことが気になっていた。
 
「大丈夫。結花里のパパ、結花里に甘いから。今から部屋に戻って、着替えだけ取ってこよう。そのまま私、送るから。」

私は、聡美の言葉に頷いた。

ランチもそこそこに、私達は立ち上がる。
 


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