幻惑
私は翼から、奥さんのことは聞かないようにしていたから。

同じ年の美容師ということしか、知らなかった。
 
「もし、どうしても離婚届を書かないのなら、裁判所に調停を依頼するって言っていたよ。」

私は、また涙を流していた。

翼は、本気で私のことを考えている。

それは嬉しいけれど。


< 203 / 263 >

この作品をシェア

pagetop