幻惑
『結花里ちゃん。明日の夜、飲みに行かない?』

一週間が過ぎた頃、翼はそう言って私を誘った。
 
『俺の都合で悪いんだけど。火曜、休みだから。』

それまでの電話で、翼は私の都合を確かめていた。

週末以外でも、夜会えるかと聞かれて、
 
『軽く飲むくらいなら。いつでも大丈夫ですよ。私の仕事、そんなにキツくないから』

と私は答えていた。
 


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