幻惑
「もう満足したか。」

と冷やかすような目の父に、私は少し恥ずかしくなって
 
「パパの意地悪。」と答えた。
 
「せっかく翼君を連れて来たのに。随分な言われようだな。」

と鷹揚に笑う父。
 
翼と並んで、ソファに座って。

翼の手を離すことができない私。

紅茶を淹れた母が、呆れた顔で父の隣に腰を下ろすと、父は話し始めた。
 
 

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