幻惑
「翼君は、結花里が家に来た後で、パパに会いに来て。『助けて下さい』って言ったんだよ。」

言葉に詰まった翼に代わり、父が続けて話した。
 
「結花里を苦しめていたことを、謝って。離婚届を書いてくれない奥さんのことを、どうすればいいか相談されて。」

私が眠っている間に、翼は頑張っていた。

それだけ、翼に大切にされていたことを、やっと私は実感できた。
 

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