幻惑
2
この間、会ったスナックで待ち合わせて。

私が店に入ると、翼はカウンターの奥に座っていた。

月曜の夜、店内は空いている。
 
「ごめんなさい。待った?」

私は、翼の隣に座って言う。
 
「ううん。俺もさっき来たところ。」

と翼は優しい笑顔で答える。

私の胸は、キュッと縮む。

初めての感触に戸惑って、曖昧な笑顔になってしまう。
 


< 23 / 263 >

この作品をシェア

pagetop