幻惑
「翼君、綺麗にしていたね。」

私が出た時と変わらない室内。

多少、埃っぽいけれど。

あの頃のままに整頓されていた。
 
「いつ結花里が帰ってきてもいいように。」

そう言った翼の目は、少し潤んでいた。
 

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