幻惑
「ここを出た頃のこと、私 あまり覚えてないの。」

記憶を辿ってみるけれど。

私は、よく思い出せなかった。
 

「忘れなさい。これからのことだけ、考えればいいの。」

そう言った母の目も、潤んでいた。
 
 

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