幻惑
「森田さんの髪、とっても素直ですよね。髪質って、性格と似ているんです。森田さんも素直なんだろうなあ。」

翼は、いつものように世間話しをする。
 
「そんなことないわ。私、わがままで強情だもの。」

私も翼に合わせて、普通通りに話すけれど。

翼の目を見ると、体が震えそうなくらい熱くなってしまう。
 
今まで、いつも普通にされていたことなのに。

翼にシャンプーしてもらうことが、甘くて恥ずかしい。


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