幻惑
翼の離婚が成立してから、父に話すつもりだった私。

翼の職業だけでも、ハードルが高いのに。

結婚していると知ったら、父は許すはずがない。
 
部屋に入ると、私はフーっとため息をついた。

父は、翼を認めてくれるだろうか。

いくら私は、病院を継がないとしても。

美容師との結婚を許すだろうか。
 
その上、まだ離婚していないと知ったら。

結婚どころか、付き合うことも止められてしまう。

一日も早く、翼の離婚が成立することを、私は願わずにはいられなかった。
 
 


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