幻惑
「私、父に認めてもらえなくても、翼君と離れないし。反対されたら、家を出るから。」

私は涙汲んで言う。
 
「うん。ありがとう。俺も、結花里を離さないよ。早めに離婚届書くように、言っておくよ。」

翼は、奥さんのことを、もう妻と呼ばない。

私は、それも嬉しかった。

そっと頷いて、翼を見つめる。
 
「ごめんね。翼君に、いやな思いさせて。」

そう言うと、私の目から涙が溢れる。
 


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