白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

実行編

☆桃華side☆

 次の朝
 私は制服姿で
 龍兄のバイクの後ろにまたがり
 龍兄の想い人がいる横断歩道へ。



「龍兄、あの子だよね?」


「ああ……」


 もうすでに
 耳まで真っ赤の龍兄。


 ここからじゃ遠すぎて
 その子の顔はよく見えないな。


「龍兄、
 もうちょっとあの子に近寄ろうよ」


「ムリ」


「なんで?」


「だってさ
 俺があの子にこれ以上近づいたら
 自分の気配が消せなくなるから」


「は?」



「だから
 ドキドキしすぎて無理なんだって」


 龍兄は、
 真っ赤に染まった顔を手で隠している。


 あなたは本当に
 TODOMEKIの元総長ですか?


 そんな弱っちいハートで
 よくヤンキー達をまとめてきたね。



「桃、もう一度確認な。

 今から桃があの子のところに行って
 声をかける。
 それで仲良くなって、連絡先を聞く。

 後日、桃とあの子が会う時に
 俺を紹介する。いいか?」


「わかってるよ。
 じゃあ、行ってくるから」


「桃、連絡先をちゃんと聞いて来いよ。
 彼氏がいるかどうかもな」


「わかってるから」


 そして私は
 黄色い旗を持って立っている
 女の子のところに近づいた。
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