白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

族の女と間違われる


 さすがに眠い。

 電車に揺られ
 何度も睡魔に襲われそうになりながら
 やっとTODOMEKIに着いた。


 早く家に帰って
 布団にバタンと寝転がりたい。


 早朝から何度も震えだす
 スマホの画面を確認すると
 朝の8時を回っていた。


 
 電話は
 朝5時5分 『虎兄』『虎兄』『虎兄』

 これは
 朝練をサボったからだろうな。


 その後も
 『どこにいるんだよ!』と虎兄から
 メッセージが届いていたり。

 龍兄からも、何回も着信が。


 今日は1時まで
 店番だったな。

 このままじゃ
 間に合わない……


 とりあえず
 誰にも邪魔をされずに寝たいのに。
 店番が終わるまでムリそうだし……


 は~。とため息をついて
 自分の自転車まで行こうとしたとき

 TODOMEKIの倉庫の中から
 出てきた男の子と、
 目が合ってしまった。


 まずい。

 誰にも見つからずに
 こっそり帰ろうと思ったのに。


 そしてその男の子は
 また倉庫の中に入ったかと思うと
 ゾロゾロ男たちを
 8人くらい連れて出てきた。
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