白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

「ハムハム
 やっと出てきてくれたじゃん」


「え? もしかしてこの女……
 総長の……彼女っすか?」


「ちげーよ。
 こいつは、十環の彼女」


「ええええええ????!!!!」


 そこまで驚かなくてもと
 言いたくなるほど
 男たちが目を見開いている。


「十環が言ってた子と
 雰囲気ちがくねぇ?」


「十環の奴さ
 彼女の良いところ盛りすぎだろ」


 ……


 みなさん
 なんともわかりやすいリアクション。


 明らかに私のこと
 結愛さんと間違えてるよね?


 その時、本当にヤンキー?って
 思ってしまうほど弱々しい男の子が
 私に言った。


「こんな人が十環さんの彼女の
 結愛(ゆあ)さんだったなんて。
 俺、ショックです」


「は?」


「十環さんには
 もっと品のある人が
 似合うと思っていたのに」


 ひ弱そうに見えて
 こいつ、良く言えるな。
 そんな傷つくこと。


 どうせ私のイメージは
 花を愛でるんじゃなくて、
 お花畑に飛び込んで
 花を片っ端から踏みつぶす
 イメージなんだろ?


「青葉(あおば)、お前度胸あんな」


「どういう意味ですか?総長」


「桃華、ちゃんと名乗ってやれよ」


 は~。 

 ばらしたくなかったのに。
 しょうがない。
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