白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「十環さんの家って言ったら
かなり遠いですよね?」
「最低でも、7キロはあるよな」
「十環だって
自転車で20分くらいかかるって
言ってたぞ」
「私、父さんに山籠もりの修行を
させられる時があって。
30キロの荷物背負って
山の中を何時間も歩かされるとか
あるから」
「百目家……こえ~」
「鷹矢さんの子供じゃなくて良かったって
今、本気で思った~」
男の人たちの笑い声を聞いていたら
だんだん意識が薄れてきた。
だめだ。
このままだと、瞼が閉じてしまう。
頭も働かなくなってきた。
もう……ムリ……
そう思った時、
私の眠気を邪魔するかのように
ポケットの中で震えだしたスマホ。
眠い目をこすりながら
画面を確認すると
『十環先輩』の文字が。