白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「雑誌に付箋を挟むほど
結愛さんのことが
忘れられませんか?」
「え?」
「それに十環先輩が寝てるとき
言ってましたよ。
『結愛さん』って。
どうせ、私と付き合うことに
したのだって、
龍兄とかお父さんに
脅されたんですよね?」
「桃ちゃん、それは、違うから」
このグチャグチャな感情が
抑えられない。
私はついに、スマホに向かって
ドズの効いた声を張り上げた。
「好きでもない女に
告ってんじゃねえよ!!!」
初めて十環先輩に
マジでキレた。
しかもヤクザ?って間違われても
おかしくないほど
ガラの悪い怒鳴り声で。