白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「おい……桃華……」
我に返り周りを見ると
TODOMEKIの男たちが
口をあけて固まっている。
手に雫がぽたりと落ち
今自分が
泣いてるんだってことに気がついた。
「桃華……お前な。
ちゃんと十環と話してから……」
「もう無理だよ。
あんなひどい自分を
十環先輩にさらけ出したんだから。
それに……
十環先輩は結愛さんのことが……」
意識がだんだん遠のいていく。
閉じたくないと思うのに
涙で濡れる瞼は
言うことを聞いてくれない。
「桃華?」
「桃華さん?」
心配してくれるのがわかる
温かい声に包まれながら
私の体がゆっくりと傾いた。
誰かが支えてくれたんだと
安心した直後、
何かに吸い込まれるように
意識がなくなった。