白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

「は~。
 桃華、俺言ったよな。

 十環は、好きでもない女に
 告るような男じゃないって。

 あれだけ信用してやれって
 言ってやったのに」


「ハムハムに……言われたけど……
 十環先輩……ごめんなさい……」


「でも俺
 ちょっとだけ嬉しかったよ」


 え?

 十環先輩が、嬉しかった?


「だって俺にも、見せてくれたでしょ?
 マジギレのヤンキー桃ちゃん」


「あ……あの時は……
 眠すぎて、頭が働いてなくて……」


「でも、電話越しだったのが残念。
 今度は俺の目の前でキレてね。

 桃ちゃんが怒ったところも
 見たいからさ」


「十環先輩の目の前でキレてって
 言われても……」


「これからも
 いろんな桃ちゃんを見せて欲しいから。
 また俺と、付き合ってくれる?」


「…………うん」


 宝石みたいに透き通った
 十環先輩の瞳。


 優しさを含んだ瞳から
 目が離せなくなった時
 周りから嫌みたっぷりの声が。
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