白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

桃華の部屋で


 次の日
 十環先輩は私の家に来て
 家族に頭を下げくてれた。


『桃ちゃんが夜中に家を飛び出したのは
 俺のせいです』

 とか

『昨日桃ちゃんが
 家の手伝いをお休みした代わりに
 俺が今日一日
 お店の手伝いをします』って。


 お父さんも龍兄も
 十環先輩に甘い。


 十環先輩を咎めることなく
 ニコニコ笑っている。


 だからお父さん。
 いつも不愛想で笑わないくせに。
 
 十環先輩の前になると
 態度変わりすぎだから。


 お母さんなんて
『十環くんのせいじゃないわよ』と
 女神さまみたいに穏やかに微笑んだし。

 逆にその笑顔が怖いから。


 私と十環先輩は
 お店の手伝のためにこき使われた後
 夕方、やっと解放してもらえた。


 そして今、十環先輩と二人だけで
 私の部屋にやって来たのです。

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