白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「十環先輩、良かったら
ソファに座ってください」
「ありがとう」
私は十環先輩の向かいにあるベッドに
腰を掛けた。
……気まずい。
十環先輩と二人きりのこの空間。
ドキドキしすぎているせいか
自分の部屋じゃないみたい。
全くくつろげないし。
「十環先輩、スルメ食べますか?」
何を言っちゃってるんだろう。私。
このスルメは
十環先輩にもらった物なのに。
あれ?
十環先輩?
お店のお手伝いをしてくれていた時は
さわやかな笑顔を振りまいていたのに。
目の前の十環先輩は
うつむいたまま一言もしゃべらない。