白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

 ゆっくりと離れた唇。


 見上げると
 優しさを纏った瞳が
 私を見つめている。


 ひゃ~!!

 十環先輩、カッコ良すぎる!!


 って……

 この状況はヤバすぎだから……


 ベッドに寝転がる私の上に
 十環先輩が
 覆いかぶさるようになっているこの状況。


 早く、逃げ出さなきゃ。 

 恥ずかしすぎて
 私の心臓が持たないから。


「え……と

 あ!
 虎兄から、十環先輩に渡してって
 預かっていたものがあったんだった」


 そう言って私は
 十環先輩からするりと抜け出した。


「虎くんが俺に渡したいものって
 なんだろう?」


「私へのお礼って
 言われたんですけど。
 十環先輩に渡すまで私は見るなって」


 なんか嫌な予感がする。


 一人で袋の中を確認した十環先輩が
 怪しく微笑みだしたから。
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