白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「中身……何だったんですか?」
「これだよ」
十環先輩が取り出したもの。
それは、ナース服。
「この前俺がね、
『どうしても桃ちゃんに着せたいから
ナース服を貸して』って
虎くんにお願いしたの。
そしたら
『今度、彼女に着せたいからムリ』って
断られたんだけど。
そっかぁ。 貸してくれたんだ。
虎くんって優しいね」
虎兄……
なんてことをしてくれたんだ……
これじゃ十環先輩の前で
目つきの悪いナースに
ならなきゃいけないじゃん!
虎兄!
私へのお礼って言ったのに……
罰ゲームなんですけど!!
「桃ちゃん、着てくれるよね?」
「ムリ」
「俺の彼女でしょ?」
「十環先輩の彼女になったら
ナース服を着るなんて約束
していませんから」
「じゃあ、しょうがないな。
桃ちゃんにあげるよ」
「何をですか?」
「俺の、子供の頃の写真」
「は?」