白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

「龍兄、助けて。
 十環先輩が無理やり
 私にナース服を着せようとするの」 


「桃、それくらい着てやれよ」


「は?」


「今から公星(こうせい)も来て
 俺と親父を説得するんだろ。
 桃をTODOMEKIの姫にしたいって。

 その時に、桃がナース服を着て
 頭を下げなかったら、
 俺はお前が姫になることを
 認めないからな」


「龍兄、なによ、それ!」


「十環、これでいいだろ?」


 龍兄は、十環先輩の方に
『ナイスだろ?』と
 言わんばかりの笑顔を向けた。


 なんかショックなんですけど。


 いつから龍兄は
 私よりも十環先輩の肩を
 持つようになったわけ?


 どんだけ好きなのよ。
 十環先輩のことが。
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