白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「桃ちゃん、誤解してるよ。
ご褒美をあげるって言ったじゃん。
コスプレさせたりしないから
安心して」
それはちょっとだけ
安心したけど。
「スルメはもう、いらないですからね。
1日3本ずつ食べても
なかなか減らないし」
「スルメじゃないよ。
桃ちゃんが絶対に喜ぶもの」
私が絶対に喜ぶもの?
何だろう……
「十環先輩
ヒントだけでも教えてください」
「え~。ヒントかぁ
しょうがないなぁ。
『ピンクの物』だよ」
「ピンクですか?」
「一颯に頼んで
作り方教えてもらっちゃった。
もうこれ以上のヒント、なしだからね」
十環先輩が私のために……
何かを手作りしてくれたってこと?
きゃぁぁぁぁぁ!!
嬉しい!!
嬉しすぎだよ!!
十環先輩が私に作ってくれたものが
ピンクのスルメだとしても
嬉しいから!!
ドクドクしい色で
グロテスクな見た目のスルメだとしても
私は絶対に
全部食べ切ってみせるから!!
とりあえず、一回落ち着こう。
まだ、十環先輩と電話中だし。