白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「桃、なんだよ」
「龍兄に……
一緒について来て欲しいの」
「どこにだよ?」
「……十環先輩の……お家……」
「は?
俺は行かねえ。
十環の家には当分行かねぇって
決めてんだから」
やばい!
やばい!
ウルウル瞳で
甘えながらのお願い作戦中なのに……
目が、乾いてきた!!
また後ろを向いたら
龍兄に何してるんだよ!って
突っ込まれそうだし……
しょうがない。
私は両手で瞳を隠し
うつむきながらもう一度
高速瞬きをした。
さっきほど潤ってくれなくて
手のひらを指でつねって
痛みで涙を出す作戦も追加。
なんとか、ウルウル瞳で
困ってます感が出たところで、
目の前のベッドに座り込む龍兄の
パジャマの袖を掴んだ。