白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

「そんなことで
 おばさんは怒らないから安心しろ」


「そんなことないよ。
 私が言ったあと
 すっごく辛そうな顔をしてたし。

 それに、せっかく私の分の朝ごはんを
 用意してくれてたのに。
 『やっぱりいらないです』って言って
 私は帰っちゃった」



「だから、桃が一人で謝りに行っても、
 許してくれるから。
 絶対に怒らないし
 優しいから大丈夫だって」


 
「謝りたいけど……勇気がないし……

 でも、十環先輩のお母さんだから
 嫌われたままじゃイヤで……

 龍兄、私のために
 一緒に来てくれない?」


「……ムリ」


 は~!

 もう!


 私が高速まばたき&手をつねって
 瞳をウルウルにさせたのに!


 上から目線で命令したいのを
 グッとこらえて、
 六花の真似をして甘えてみせたのに!


 それでも
 十環先輩の家に行ってくれないの?


 このままじゃ、本当に
 『ご褒美』がもらえなくなっちゃう!

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