白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
瞳をウルウルさせるのに
高速まばたきなんて
生ぬるいことをしているから、
上手くいかないんだよ。
きっと。
もっと涙が止まらなくなるくらいの事を
しなきゃ!
そう思った私は
拳をつくり
思いっきり自分のお腹を殴った。
う~~~~~。
痛すぎる!!!
さすが、1歳から
武道をやらされていることはある。
私の想像をはるかに超える痛みが
襲ってきた。
立っていられなくて
その場にくずれ込む。
お腹は痛すぎだけど
瞳は十分、涙が溜まっている。
今がチャンス!!
私は痛いお腹をごまかすように
立ち上がり、
もう一度
龍兄の部屋のドアをノックした。