白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「龍兄、もう一度だけ、いい?」
「いいけど」
考えろ!
考えろ!
龍兄にとって
一番ハートにグサッとくる言葉を
考えるんだ!!
私は開いたドアの前に立ったまま
潤んだ瞳で龍兄を見つめた。
「龍兄って……
私のこと……
嫌いになっちゃった?」
「お……おい。 桃……」
龍兄は、明らかに動揺している。
いいタイミングで
私の瞳から涙が
頬を伝ったからかもしれない。
目を見開いて
固まっている龍兄に向かって
私はうつむきながらつぶやいた。
「龍兄のこと……
頼りにしてたのに……」