白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

「龍兄、もう一度だけ、いい?」


「いいけど」

 

 考えろ!

 考えろ! 


 龍兄にとって
 一番ハートにグサッとくる言葉を
 考えるんだ!!


 私は開いたドアの前に立ったまま
 潤んだ瞳で龍兄を見つめた。


「龍兄って……

 私のこと……

 嫌いになっちゃった?」



「お……おい。 桃……」


 龍兄は、明らかに動揺している。


 いいタイミングで
 私の瞳から涙が
 頬を伝ったからかもしれない。

 
 目を見開いて
 固まっている龍兄に向かって
 私はうつむきながらつぶやいた。



「龍兄のこと……

 頼りにしてたのに……」

< 168 / 337 >

この作品をシェア

pagetop