白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「龍兄!
今から私が言うことを聞いたら
即、この部屋から出てってよ」
「は?」
「約束してくれないなら
言わないから!」
「わかったよ。
桃の言葉を聞いたら
この部屋を出てくから」
恥ずかしすぎて
口が開こうともしてくれない。
上下の唇が
思いっきり力を入れて閉ざしている。
私はベッドの上で
頭まで布団をかぶった。
そして、亀みたいに布団に隠れたまま
やっと口を開いた。
「龍兄のことは……
スーパーヒーローだって思ってるよ……
私が辛い時には……
いきなり飛んできて……
助けてくれたりするから……」