白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

 ふわりと
 温かいものに包まれたと感じた時には
 十環先輩の腕の中だった。
 

 十環先輩だってわかる甘い香りに
 鼻をくすぐられ、
 ずっとこのまま抱きしめて欲しいと
 思っちゃう



 でも……
 さすがにここでは……



 十環先輩の家の廊下だよ。

 いつリビングから
 十環先輩の家族が出てくるか
 わからないよ。
 

「ちょ……ちょっと。 
 十環先輩!!」


 私のあわてるような声に
 十環先輩は
 絡めていた腕を緩めてくれた。


 そして私の瞳を見つめると
 ニコッと微笑みながら
 頭を撫でてくれた。



「桃ちゃん、お疲れさま。
 ご褒美はお花見のあとね」



 ご褒美かぁ。

 すっごく楽しみ。



 だけど
 最上級の笑顔で
 私の頭を撫でてくれるなんて。


 これも最高のご褒美です!!


 
 さぁ、もうすぐ
 十環先輩の家族とのお花見会が開始。


 龍兄と小百合さんの恋が進展するのか?


 それとも

 意地っ張りの二人が素直になれぬまま
 終わってしまうのか?


 それは次のお話で。

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