白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

 私はバックからスマホを取り出すと
 一番何とかしてくれそうな人に
 電話をかけた。


「十環先輩! 
 助けてください!」


「え? どうしたの? 桃ちゃん」


「今、龍兄に追いかけられていて」


「なんでそんなことに?」


「龍兄の好きな子に
 彼氏がいるか聞いてきてって
 お願いされたんですけど。

 聞いてみたら、その子
 虎兄の彼女さんで。

 虎兄のことが大好きで
 しかたがないみたいで。

 そのこと、龍兄に言えなくて」


「桃ちゃん、俺に任せて。
 うまく伝えてあげるから」


 ひゃあ~!!
 十環先輩、カッコいい!!


 優しい声で
 男らしいことをサラッと言ってくれて。

 十環先輩
 最高にカッコよすぎです!!!!


 って……
 ギャ~~~!!!!


 地獄から這い上がってきた
 鬼みたいな目の龍兄に
 肩をつかまれたんですけど……
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