白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「付き合おうかな……
会社の人と……」
「は?」
「入社してからだから
もうすぐ4年経つけど。
ずっと『付き合って』って
言われ続けててさ。
私と同期で。
誰にでもニコニコしてる人でさ。
先輩にも可愛がられてるし
後輩からも慕われてるし。
私が彼女になんてなったら、
会社の誰も納得しないでしょ!って
ずっと思ってた。
先週も言われたんだよね。
付き合ってって。
龍はさ……どう思う? 」
「好きなわけ? そいつのこと」
「わかんない……
でも、尊敬はしてる。
私がキツイこと言っても
笑顔でサラッとかわしてくれて。
簡単に例えるなら
十環みたいなタイプかな」
「十環タイプか……
それなら、良い奴なんじゃね?」
「本当に龍は
十環のことが大好きなんだから。
さすがに私も
自分のことヤバすぎだなって
思うんだよね。
22歳にもなってさ
嫌なことがあると
真っ暗な部屋にこもって
ゲームしてるなんてさ。
変わらなきゃ……ダメだよね?」
「だからってさ
好きでもねえ相手と付き合うとか。
それはどうかと思うけど」
「恋なんて、そんなもんじゃないの?
付き合い始めて
お互いの距離が近づかないと
本当に好きかどうかなんて
わかんないんじゃないの?
一目ぼれだって
ただの幻想でしょ?
相手の本性を知って
幻滅して別れるなんて
よくあることだしさ」